※個人の趣味によるブログです。基本的に本を読んでます。
No.606
2013/11/03 (Sun) 02:18:14
詰め合わせ第二弾。
2.色町(陰間)ネタ(わたしが仕入れた色町ネタを使うと、エグくなるなあと思っていて書く気がしなかったため没)。
余りの痛みフラフラになりながら金桜華楼の最上階、あてがわれている太白の間に戻り、しばらく絳攸は脂汗を流しながら部屋でぐったりしていたのだが、痛みが引くと馬鹿馬鹿しくなり階下へと降りて行った。回廊へ出る前に、一応左右を見回す。嫉妬に狂い鬼のような形相で絳攸の陰部を思いっきり蹴った相手がいないかの確認だ。
「くっそ…! あの野郎、思いっきりやりやがって」
目立つ顔ではなくて、陰部を――商売道具を攻撃してきたのだ。そこに悪意を感じる。
何故自分がこそこそしなければならないのか、腑に落ちない。苛立ちは募るばかりだ。
――売れ始めたからって調子になるなよ! お前の人気など直ぐに下火になる!
蹴られながら罵られた言葉を思い出して、不快感が込み上げてきた。
客を取っただの取られただの。全く持って絳攸には興味がない。喚きながら絳攸に暴力を働いた色子も、以前は他人の客を寝取ったのだから、自分が取られて文句を言うのはおかしい。ここはそういう世界だ。下働きなど辛いだけで、借金さえなければこんな所出て行ってやるという思い一つで、ひたすら耐えている。出て行ったら今は体臭のもとになると禁止されているなまものや牛鍋を思いっきり腹におさめてやるんだ。ペラペラの野菜ばかりの食事ですら、その代金は借金に上乗せされているのも腹立たしい。売られ、ここで育った日からの生活費もすべてツケだと知った時のやりきれなさを思い出した。
幸いというかなんというか、初穂の折から絳攸は人気者だ。一日にとっかえひっかえ何人もの客を取らされる期間は短くすみ、一人部屋をあてがわれ、祝いとして文机やら筆やらを客に買ってもらい、落ち着いている。それが他の色子らの妬みの対象となるのは解るが、絳攸のせいではない。怨むならこの世界の掟を恨めと言ったところだ。
売れようが売れまいが嫌なものは嫌だ。
色代は高い。絳攸だろうと他の色子だろうと。吉原の遊女よりよっぽど高い。高いから客の質もいい。だから一々目くじらを立てて怒ることか、と思う。客に情を持つなど、絳攸には信じられないことなのだ。
週に一度しかない休日だからか、縁側には誰もいない。それも都合がよかった。
陽のあたる縁側にゴロンと寝転がり、足を開く。陰部を干しておかなければただれると中年の下女が口を酸っぱくして言うから、絳攸だけでなく色を売る者は普段から二度寝の後、よく縁側で足を開いてゴロゴロしている。
どうせ横になるなら温かい縁側でと考えたのだ。眩しくて眼を閉じれば、睡魔が襲ってきた。
眠りながらどうやれば最短で借金を返せるか、計画を立てる。このまま働いていても、色々しょっ引かれて稼げる金は高が知れていて、年季が明けるまでの期間はまだまだ先だ。ならば強力な支援者が必要ということになる。
トン、と軽やかな足取りを沈みそうな意識がかろうじで拾う。無防備な格好だ。あの色子に見つかり、股の間を踏まれでもしたら参事だ。
薄らと眼を開ければ、男が腕を組み、その精悍な顔に不敵な微笑を浮かべ、絳攸を足の間から見下ろしていた。
「いい眺めだ」
この金桜華楼の跡取り、藍楸瑛だ。
絳攸は自分の上に影を落とす楸瑛に向けて、唇の端を僅かに上げてみせた。
=====
ドロドロした世界は読むのも観るのも苦手です。書くのは言わずもがな。
思っていたよりあっさりしてくれたので、ほっとしてます。書くまで解らんものです。
2.色町(陰間)ネタ(わたしが仕入れた色町ネタを使うと、エグくなるなあと思っていて書く気がしなかったため没)。
余りの痛みフラフラになりながら金桜華楼の最上階、あてがわれている太白の間に戻り、しばらく絳攸は脂汗を流しながら部屋でぐったりしていたのだが、痛みが引くと馬鹿馬鹿しくなり階下へと降りて行った。回廊へ出る前に、一応左右を見回す。嫉妬に狂い鬼のような形相で絳攸の陰部を思いっきり蹴った相手がいないかの確認だ。
「くっそ…! あの野郎、思いっきりやりやがって」
目立つ顔ではなくて、陰部を――商売道具を攻撃してきたのだ。そこに悪意を感じる。
何故自分がこそこそしなければならないのか、腑に落ちない。苛立ちは募るばかりだ。
――売れ始めたからって調子になるなよ! お前の人気など直ぐに下火になる!
蹴られながら罵られた言葉を思い出して、不快感が込み上げてきた。
客を取っただの取られただの。全く持って絳攸には興味がない。喚きながら絳攸に暴力を働いた色子も、以前は他人の客を寝取ったのだから、自分が取られて文句を言うのはおかしい。ここはそういう世界だ。下働きなど辛いだけで、借金さえなければこんな所出て行ってやるという思い一つで、ひたすら耐えている。出て行ったら今は体臭のもとになると禁止されているなまものや牛鍋を思いっきり腹におさめてやるんだ。ペラペラの野菜ばかりの食事ですら、その代金は借金に上乗せされているのも腹立たしい。売られ、ここで育った日からの生活費もすべてツケだと知った時のやりきれなさを思い出した。
幸いというかなんというか、初穂の折から絳攸は人気者だ。一日にとっかえひっかえ何人もの客を取らされる期間は短くすみ、一人部屋をあてがわれ、祝いとして文机やら筆やらを客に買ってもらい、落ち着いている。それが他の色子らの妬みの対象となるのは解るが、絳攸のせいではない。怨むならこの世界の掟を恨めと言ったところだ。
売れようが売れまいが嫌なものは嫌だ。
色代は高い。絳攸だろうと他の色子だろうと。吉原の遊女よりよっぽど高い。高いから客の質もいい。だから一々目くじらを立てて怒ることか、と思う。客に情を持つなど、絳攸には信じられないことなのだ。
週に一度しかない休日だからか、縁側には誰もいない。それも都合がよかった。
陽のあたる縁側にゴロンと寝転がり、足を開く。陰部を干しておかなければただれると中年の下女が口を酸っぱくして言うから、絳攸だけでなく色を売る者は普段から二度寝の後、よく縁側で足を開いてゴロゴロしている。
どうせ横になるなら温かい縁側でと考えたのだ。眩しくて眼を閉じれば、睡魔が襲ってきた。
眠りながらどうやれば最短で借金を返せるか、計画を立てる。このまま働いていても、色々しょっ引かれて稼げる金は高が知れていて、年季が明けるまでの期間はまだまだ先だ。ならば強力な支援者が必要ということになる。
トン、と軽やかな足取りを沈みそうな意識がかろうじで拾う。無防備な格好だ。あの色子に見つかり、股の間を踏まれでもしたら参事だ。
薄らと眼を開ければ、男が腕を組み、その精悍な顔に不敵な微笑を浮かべ、絳攸を足の間から見下ろしていた。
「いい眺めだ」
この金桜華楼の跡取り、藍楸瑛だ。
絳攸は自分の上に影を落とす楸瑛に向けて、唇の端を僅かに上げてみせた。
=====
ドロドロした世界は読むのも観るのも苦手です。書くのは言わずもがな。
思っていたよりあっさりしてくれたので、ほっとしてます。書くまで解らんものです。
PR
この記事にコメントする
カレンダー
05 | 2025/06 | 07 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 |
22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 |
29 | 30 |
フリーエリア
最新記事
(11/02)
(11/02)
(08/25)
(07/16)
(05/26)
ブログ内検索
最新コメント
[04/26 faux collier van cleef prix]
[10/31 rolex oyster perpetual submariner date fake]
[09/10 cartier promise bracelet fake]
[02/20 boucles d'oreilles van cleef papillon fausse]
[02/20 used cartier ballon bleu watches replica]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
MIRE
性別:
非公開
P R