※個人の趣味によるブログです。基本的に本を読んでます。
No.211
2012/04/14 (Sat) 02:51:54
あと数行で終わるはずなのに終わらないアレの骨休め。
甘いを目指して破綻するのはデフォルトです。箇条書きにすれば甘い気がしますきっと、と思っていたのに書き終わったら甘くなりました。甘いのになんか変です。
かなりラフです。
土曜日の正午前、楸瑛は漸くベッドから身体を起こした。実は2,3時間前に目覚めていたのだが、起きる気が全くしなかった。体調が悪いわけではない。悪いのは――精神状態というと大仰に聞こえてしまう。簡単に言えば不貞寝だ。
――酷い喧嘩をした。恋人と。
頬がピリッとしたから、何だと触ってみれば違和感があった。昨日の引っかき傷だろう。
殴る蹴るひっかく抓る引っ張る噛む。もちろん怒鳴ったりもした。何でもありの喧嘩だ。
原因は解らず屋の彼――そうまあ男なのだが、ツッコミは受け付けません。その恋人と昨日人前で軽くじゃれ合ったことが彼は気に喰わなかったらしい。別にキスしたわけでもないのに、「ああいうのは今後よせ」と言われて、悲しかった。恋人なんだから。楸瑛はいつだって触れていたいのに、彼――絳攸は違うのか。
付き合いだしたころかもしかしたら温度差があるのかもしれない、と思ってきたが、それがどんどん愛されてないのかも、という疑問に変わってきた。
そりゃ男同士色々世間体が気になるのは解るけど、別に悪いことじゃないから堂々としてればいいのだ。それに楸瑛が絳攸にだしたちょっかいなんて、仲のいい友人間のそれと大差がないほどのもので――と言ったら次第に言い争いになり、いつの間にか手や足が出ていた。
――君のことを信じられない!
言ってしまってからあ、と思ったが遅かった。ピタリと拳がやみ、そして絳攸は出て行った。
イライラして――捨てられたかもと不安で眠れない。酒を飲んでも余計に目が冴えて、ぐるぐるいろんなことを考えて、ちょっと泣きそうになったり、その原因の絳攸に腹を立てたり、忙しかった。結局一升あけて、強制的に落ちた。
そんなことがあった次の日の朝くらい、ぐだぐだしててもいいと思っていたが、結局起きずにはいられないのだ。
酒臭い溜息を吐いて、頭をガシガシ掻いた。シャワーだシャワー。すっきりすればちょっとは違うかもしれない。その前に――。
煙草を咥えて火をつけた。いつもは部屋で吸うな、という絳攸のためにベランダで喫煙していたのを今日は破ってやる、と思った矢先だった。
ガチャガチャという音の後にドアが開いた。
咥え煙草でそちらに目を向けていると――。隙間からのぞいた頭は――。
「こう、ゆう」
睨みつけるような視線を寄越したのは出て行ったはずの恋人だった。何故か昨日出て行ったままの恰好をしてる。煙草が唇から落ちた。
「あ、楸瑛お前馬鹿! 早く煙草拾え! 火が!」
荷物をほおり投げるように置いて、慌てて靴を脱いだ絳攸が床に落ちた火種を拾い灰皿に押しつけた。床は――まあ気にならないくらいの被害だ。ぐちぐち言っていた絳攸最後に湿っぽい息を吐いて、楸瑛の前に立った。
ひと騒動の後の静寂は――辛い。
「楸瑛」
ビクッと肩が震えた。何しに来たんだろうか。悪いほうへ悪いほうへ思考が働く。
「それ――昨日の…」
絳攸の視線は頬の引っかき傷に向けられていた。
「わる、かった」
「いや。こっちこそごめん」
絳攸の唇の横にはバンソコウが張ってある。お互い相手にけがをさせたし、自分も傷付いた。
何かを言い淀んでいる絳攸の顔をじっと見た。
それも、もしかしたらもう終わりなのか、と思うと楸瑛は泣きそうになった。終わらせた方がいい関係があるってことは知っているけど、絳攸が好きだった。いや、好きで、大好きで、愛してる。
「楸瑛」
意志の強さを感じさせる声に、楸瑛は叫びたくなった。言わないで、と言いたかったが言葉が出なかった。
「お前――酒臭い。変な顔してないで風呂浴びてこい」
え、それだけ?
「ほらタオル」
「あ、ありがとう」
投げられたバスタオルを受け取った。
「ついでにこれもやる」
飛んできた小さいものを目の横でキャッチする。何だ、と掌を開いてみたら――。
銀色の小さな輪っかがあった。
「――絳攸…。これ…」
言葉が出てこない。だってこれ、だってこれ。――指輪、だ。
難しい顔を多分照れ笑いを隠すためにあえてそうしてるのだろう。
「昨日お前が変なことを言うからだ。馬鹿野郎」
その驚くほど澄んだ瞳で真っ直ぐに楸瑛を見据えて――。
「お前のこと好きに決まってるだろ、楸瑛。愛してる」
「―――」
「これでもう疑うなよ、馬鹿」
楸瑛は絳攸に抱きついた。
「おい、この酒」
「一応人間なんだけど…」
「いっとくけど安物だからな。文句は言うなよ」
嘘つき、という言葉は心に仕舞って楸瑛は頷いた。
玄関先に転がる絳攸の鞄から有名な宝石店の紙袋が覗いていた。あの絳攸が朝一番で駆けこんだのかと思うと、心の底からおかしくなった。
*****
寝ます。
甘いを目指して破綻するのはデフォルトです。箇条書きにすれば甘い気がしますきっと、と思っていたのに書き終わったら甘くなりました。甘いのになんか変です。
かなりラフです。
土曜日の正午前、楸瑛は漸くベッドから身体を起こした。実は2,3時間前に目覚めていたのだが、起きる気が全くしなかった。体調が悪いわけではない。悪いのは――精神状態というと大仰に聞こえてしまう。簡単に言えば不貞寝だ。
――酷い喧嘩をした。恋人と。
頬がピリッとしたから、何だと触ってみれば違和感があった。昨日の引っかき傷だろう。
殴る蹴るひっかく抓る引っ張る噛む。もちろん怒鳴ったりもした。何でもありの喧嘩だ。
原因は解らず屋の彼――そうまあ男なのだが、ツッコミは受け付けません。その恋人と昨日人前で軽くじゃれ合ったことが彼は気に喰わなかったらしい。別にキスしたわけでもないのに、「ああいうのは今後よせ」と言われて、悲しかった。恋人なんだから。楸瑛はいつだって触れていたいのに、彼――絳攸は違うのか。
付き合いだしたころかもしかしたら温度差があるのかもしれない、と思ってきたが、それがどんどん愛されてないのかも、という疑問に変わってきた。
そりゃ男同士色々世間体が気になるのは解るけど、別に悪いことじゃないから堂々としてればいいのだ。それに楸瑛が絳攸にだしたちょっかいなんて、仲のいい友人間のそれと大差がないほどのもので――と言ったら次第に言い争いになり、いつの間にか手や足が出ていた。
――君のことを信じられない!
言ってしまってからあ、と思ったが遅かった。ピタリと拳がやみ、そして絳攸は出て行った。
イライラして――捨てられたかもと不安で眠れない。酒を飲んでも余計に目が冴えて、ぐるぐるいろんなことを考えて、ちょっと泣きそうになったり、その原因の絳攸に腹を立てたり、忙しかった。結局一升あけて、強制的に落ちた。
そんなことがあった次の日の朝くらい、ぐだぐだしててもいいと思っていたが、結局起きずにはいられないのだ。
酒臭い溜息を吐いて、頭をガシガシ掻いた。シャワーだシャワー。すっきりすればちょっとは違うかもしれない。その前に――。
煙草を咥えて火をつけた。いつもは部屋で吸うな、という絳攸のためにベランダで喫煙していたのを今日は破ってやる、と思った矢先だった。
ガチャガチャという音の後にドアが開いた。
咥え煙草でそちらに目を向けていると――。隙間からのぞいた頭は――。
「こう、ゆう」
睨みつけるような視線を寄越したのは出て行ったはずの恋人だった。何故か昨日出て行ったままの恰好をしてる。煙草が唇から落ちた。
「あ、楸瑛お前馬鹿! 早く煙草拾え! 火が!」
荷物をほおり投げるように置いて、慌てて靴を脱いだ絳攸が床に落ちた火種を拾い灰皿に押しつけた。床は――まあ気にならないくらいの被害だ。ぐちぐち言っていた絳攸最後に湿っぽい息を吐いて、楸瑛の前に立った。
ひと騒動の後の静寂は――辛い。
「楸瑛」
ビクッと肩が震えた。何しに来たんだろうか。悪いほうへ悪いほうへ思考が働く。
「それ――昨日の…」
絳攸の視線は頬の引っかき傷に向けられていた。
「わる、かった」
「いや。こっちこそごめん」
絳攸の唇の横にはバンソコウが張ってある。お互い相手にけがをさせたし、自分も傷付いた。
何かを言い淀んでいる絳攸の顔をじっと見た。
それも、もしかしたらもう終わりなのか、と思うと楸瑛は泣きそうになった。終わらせた方がいい関係があるってことは知っているけど、絳攸が好きだった。いや、好きで、大好きで、愛してる。
「楸瑛」
意志の強さを感じさせる声に、楸瑛は叫びたくなった。言わないで、と言いたかったが言葉が出なかった。
「お前――酒臭い。変な顔してないで風呂浴びてこい」
え、それだけ?
「ほらタオル」
「あ、ありがとう」
投げられたバスタオルを受け取った。
「ついでにこれもやる」
飛んできた小さいものを目の横でキャッチする。何だ、と掌を開いてみたら――。
銀色の小さな輪っかがあった。
「――絳攸…。これ…」
言葉が出てこない。だってこれ、だってこれ。――指輪、だ。
難しい顔を多分照れ笑いを隠すためにあえてそうしてるのだろう。
「昨日お前が変なことを言うからだ。馬鹿野郎」
その驚くほど澄んだ瞳で真っ直ぐに楸瑛を見据えて――。
「お前のこと好きに決まってるだろ、楸瑛。愛してる」
「―――」
「これでもう疑うなよ、馬鹿」
楸瑛は絳攸に抱きついた。
「おい、この酒」
「一応人間なんだけど…」
「いっとくけど安物だからな。文句は言うなよ」
嘘つき、という言葉は心に仕舞って楸瑛は頷いた。
玄関先に転がる絳攸の鞄から有名な宝石店の紙袋が覗いていた。あの絳攸が朝一番で駆けこんだのかと思うと、心の底からおかしくなった。
*****
寝ます。
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