読了

読み終わりました。
あ、写真は昨日のブログのリサイクルです（汗）。
 おおおお、面白かったです…！
決して東野作品のよき読者ではないわたしが評するのは失礼ですが（7，8冊しか読んでない）、東野作品の中でのマイ・フェーバリット・ソー・ファーです。
重いですがYA（ヤングアダルト）作品と思えるくらい「ひと夏の思い出」的なキラメキと力強さがありました。

別に推理をしようと思ってないのですが、東野作品はミステリとしては優しいイメージがあります。動機はともかく、犯人と特に殺害方法は単語単語で出てきた瞬間に想像がつくので。もちろん100点の推理ではないですけどぉ。
それでも読ませてしまう文章力と、今回は雰囲気がよかったです。美しい海と少し生意気盛りに差し掛かりそうな元気な都会から来た子供が湯川先生になつくのがよかった。
この設定でミステリではない話が読みたいほどに素敵でした。
今年のマイ読書ランキング入りもアリかもしれません…！　満足です。読んでよかったあ！　ありがとうっ！

というか、わたし「容疑者X（略）」を読んだときドラマのイメージと違うところが多々あって、特に「えー、湯川先生ってかっこよくないんだあ！」とショックを受けたのですが、今回「端正な横顔」という描写があって「えええ！　湯川先生っていつかっこよくなったの！？」と驚きました（笑）。端正ノットイコールかっこいいですが、そこはご愛嬌ということでなにとぞひとつよろしくお願いします。

以下ネタバレ御免のため折りたたみます。
核心的なネタバレは避けているため伏字だらけで、何が何だか状態かもしれません…。ふ。

※　※　※
子供が大人になる瞬間を目撃できる読書は感慨深いものです。
例えそれが青春の終焉だとしても。いや、今回は青春の終焉ではないですが。
大人にはならないまでも、自分と向き合い成長した登場人物を目撃出来て、やはり感慨深くなりました。そして湯川先生もとても素敵でした。
これからぶつかるだろう困難や苦悩に、潰れず自棄にならないための制御になるでしょうね。
あああ、感慨深い（と何度も同じ言葉を使う語彙不足）。

またある問題が解決せずに終わったのも、「ひと夏の思い出」としてのキラメキと哀愁を感じさせて雰囲気がよかったです。ある台詞とともにあの人の夏が終わった瞬間ですね。

それにしてもどうしても許せない箇所が一つあります。いや毒じゃないけれど。この本を読んだ人の多くが許せないと思うのですが果たして。
まだ○○で△△△△もない人物にXXXXXXXXXXXXコノヤロオオォォォ！！！　（完全なネタバレのため伏字御免）。
おまけに□□でしたと偽るなんて、性質が悪すぎて言葉を失う…。どれだけの犠牲が！　どれだけの犠牲を他の人に強いているんだ…！　あんたは言わないことを選んだ。その意思を最後までつきとおせ…！　裏切り者だからと疾しさでしばりつけられていた人を苦しめ、◎◎◎◎、しかもまだ○○のああああああああ（完全なネタバレのため叫び声にて御免）。
という激しい憤りが。

すっきりしない展開と思う方もいるかもしれませんが、わたしは今の段階ではこれでよかったと思います。それはこの「夏休み」という区切られた期間での出来事として納まっているし、カタストロフィが目的ではないと感じるから。
受け止めきれない出来事から逃げ、糊塗して偽ることが目的じゃない。まだ受け止めきれないからこそ、これから悩みながらも真剣に向き合えるような手助けになったはずです。
いずれあの人が自分で答えを出す時が来る、と。その予感に心が温かくそして切なく悲しくまるでいつかあった遠い夏の記憶を思い出すように心が震えます。

全てを含めて、この作品が東野作品マイベスト・ソーファー。マイフェイヴァリット・ソーファーです！