※個人の趣味によるブログです。基本的に本を読んでます。
No.566
2013/09/17 (Tue) 00:01:16
お返事遅くなっていて済みません…!!
明日これを書き終って、没だなと思わなければ完全版として更新します。
せっかくの休日をまるまる読書に費やしてしまうのは珍しいことではないから、例え読んでいる本が主観的には今まで食指が動かなかったジャンルで、客観的に同年代の男が読んでいたらマニアックな部類に入るものだとしても、その俺が休日に、いや休日じゃなくても、俺が本を読んでいるという光景自体は何ら疑問の余地がない。
それが久々の秋晴れで、ついこの間までの殺人的な激しさがそがれ、幾らか柔らかみを帯びた陽光の加減と、外から侵入する親子連れの楽しそうな声に晒されても、窓辺で差してくる直射日光を浴び幸せそうな声を聴き流し、籐の椅子に持たれながら何時間も同じ体勢で本を読む行為は、他人から外出しないなんてもったいない等の小言をはねのけるくらい魅力的なものだ。
籐の椅子に全体重をかけて最後の一ページを読み終え、その最後の一冊を閉じて他に本が積み上がっているサイドテーブルではなくて、腹に乗せ、そのまま眼を閉じると、うとうとしてくる。すっと眠りの世界へ入り込めそうな予感。このまま温かい窓辺で転寝しまおう。
籐の椅子はなんだかロッキングチェアに似ていると思う。ロキングチェアに座ったことがあるのかと問われれば、多分ないと答えるしかないのだが、イメージだが全体重を受け止めゆらりゆらりと柔らかく揺れる感じと、籐の椅子の持つ包み込むような温かみが重なるのかもしれない。とにかく両方とも心地よい眠りを提供してくれそうな点は、何よりの共通点だろう。そんなことを思っていたら、ゆらゆらと揺れてる感じがしてきて、本格的にうっとりした。
しかしタイミングが悪い奴とはえてして必ず存在して、今回の場合は玄関がガチャガチャと煩いという形であらわれた。
「絳攸、いる? お邪魔するよー」
おい、勝手に邪魔するな、と思いながらも、億劫だから反応しない。俺はこのまま寝ていたいのだ。そもそもあいつに合鍵など渡した覚えがないのだが、「覚えてないのかい?」としらを切られて、当てはまるような気がする事態がポンポンと頭に浮かんでしまって以来、うやむやな事項の一つだ。
「あれ? こう…あ、寝てる?」
そうだ。これから完全にブラックアウトするんだ。頑張れ俺。寝るんだ俺。こんなこと考えてる時点で逆効果でも、寝てしまえ俺と思うけれど、何でそんなに存在感があるんだお前。邪魔するなよ。寝ようとしている俺を本当に寝ていると思って、足音を含めた物音を立てないようにしているのに、ウザいくらいの気配に睡眠妨害をされる。
「寝てるというか、うとうとしてるし気持ちいいからこのまま寝よう、ってところか」
おいコラ、人の心の中を勝手に読むな。ますます快眠から遠ざかる。
「寝ながら眉間にしわを寄せてる。全く、君は変なところで器用だな」
感心するんじゃない。お前のせいだろうってもうつっこませるな!
「ん? え?」
突然雰囲気が変わり、当惑している楸瑛の声に疑問が湧く。寝ようとしている人間に考えさせるなんて、つっこみを入れさせるより性質が悪いが、何に戸惑っているのか気になる。その時唐突にこいつはおれの腹を見ている、と理解しはっとした。俺は眠ろう眠ろうとマインドコントロールに暇なく、眼を閉じてるから俺はエスパーであるなんて仮説が成立しない限り、楸瑛の視線の先なんて解るはずないのだが、そもそもそんな仮説は成立しないのに、解ってしまった。だってそんな戸惑いの声を上げられたらそれしかないだろう。
すっと眠気が引く。コイツにだけは観られたくなかった。ああ失態。
おれの腹に乗っかっている本、それは言葉を重ねることになりうるが主観的には今まで興味がなかった分野で、客観的にはレジに持っていったら本屋の若い女性定員に上目づかいでちら見された代物だ。だからと言って悩ましい表情をした写真が載ってるような、決していかがわしい内容の本だという決めつけは浅慮だ。なぜならばそんな本ではないからだ。断じてないと否定して、信じてもらえる自信があるくらいに普段の行いは悪くないし、そういう本は学生時代に悪いクラスメイトに無理やり見せられて以来――というのは本筋から関係ないから省略する。
「何でまたこのチョイス――」
「不法侵入は犯罪だ、藍楸瑛。人が眠っている間に詮索とは感心しないな」
パチリと眼を開けば、一瞬驚いた楸瑛はすぐに待ってたかのように人の悪そうに口元を歪めて覗き込んできた。
「おや、お目覚めかい絳攸先生。合鍵を渡されたんだから、いつでもウェルカムって判断にならない? 最後のは不可抗力。そんな目立つ本を腹に載せて寝ている君のフォルトだ」
「もういい。寝起きにお前の長口上はガンガン響いて気分が悪くなる」
「君には不評なのか。残念。私の声で目覚めたいって、引き留め女性はたくさんいるんだけど」
………コイツの息の根を誰か止めるべきだ、と時々思うくらいは自由なのだからいいだろう。本当の所偶に手が出るが、むかつくことに涼しい顔で躱されてばかりいるのだから実害はない。悔しい。
私、読むのも書くのも断然三人称の方がなじみやすいのですが、舞城さんを読んで一人称の無限の可能性に目覚めました。ほら、影響受けやすい人間なので…。
もう少し続きます。そして納得できればサイトにアップします。
この話については、ネタと一人称ありきで、設定が全く抜けていて、この二人の立場は何だ、と書いていて迷いました。窓辺に籐の椅子を置いて休みを楽しんでるのだから、まあ社会人だろう、と。では職業はナニ? という思考回路を辿ってます。先生と書いた通り、先生で、助教授(准教授)の二人に出張ってもらってます。
一人称・舞城さんの影響はともかく、久々に自分のネタです(苦笑)。
他に「ペンギンはマーチを刻む」という題名とちょこちょこネタが決まっている話も書きたかったのですが、それは後日。あ、これは題名決まってないです(苦笑)。
明日これを書き終って、没だなと思わなければ完全版として更新します。
※ ※ ※
せっかくの休日をまるまる読書に費やしてしまうのは珍しいことではないから、例え読んでいる本が主観的には今まで食指が動かなかったジャンルで、客観的に同年代の男が読んでいたらマニアックな部類に入るものだとしても、その俺が休日に、いや休日じゃなくても、俺が本を読んでいるという光景自体は何ら疑問の余地がない。
それが久々の秋晴れで、ついこの間までの殺人的な激しさがそがれ、幾らか柔らかみを帯びた陽光の加減と、外から侵入する親子連れの楽しそうな声に晒されても、窓辺で差してくる直射日光を浴び幸せそうな声を聴き流し、籐の椅子に持たれながら何時間も同じ体勢で本を読む行為は、他人から外出しないなんてもったいない等の小言をはねのけるくらい魅力的なものだ。
籐の椅子に全体重をかけて最後の一ページを読み終え、その最後の一冊を閉じて他に本が積み上がっているサイドテーブルではなくて、腹に乗せ、そのまま眼を閉じると、うとうとしてくる。すっと眠りの世界へ入り込めそうな予感。このまま温かい窓辺で転寝しまおう。
籐の椅子はなんだかロッキングチェアに似ていると思う。ロキングチェアに座ったことがあるのかと問われれば、多分ないと答えるしかないのだが、イメージだが全体重を受け止めゆらりゆらりと柔らかく揺れる感じと、籐の椅子の持つ包み込むような温かみが重なるのかもしれない。とにかく両方とも心地よい眠りを提供してくれそうな点は、何よりの共通点だろう。そんなことを思っていたら、ゆらゆらと揺れてる感じがしてきて、本格的にうっとりした。
しかしタイミングが悪い奴とはえてして必ず存在して、今回の場合は玄関がガチャガチャと煩いという形であらわれた。
「絳攸、いる? お邪魔するよー」
おい、勝手に邪魔するな、と思いながらも、億劫だから反応しない。俺はこのまま寝ていたいのだ。そもそもあいつに合鍵など渡した覚えがないのだが、「覚えてないのかい?」としらを切られて、当てはまるような気がする事態がポンポンと頭に浮かんでしまって以来、うやむやな事項の一つだ。
「あれ? こう…あ、寝てる?」
そうだ。これから完全にブラックアウトするんだ。頑張れ俺。寝るんだ俺。こんなこと考えてる時点で逆効果でも、寝てしまえ俺と思うけれど、何でそんなに存在感があるんだお前。邪魔するなよ。寝ようとしている俺を本当に寝ていると思って、足音を含めた物音を立てないようにしているのに、ウザいくらいの気配に睡眠妨害をされる。
「寝てるというか、うとうとしてるし気持ちいいからこのまま寝よう、ってところか」
おいコラ、人の心の中を勝手に読むな。ますます快眠から遠ざかる。
「寝ながら眉間にしわを寄せてる。全く、君は変なところで器用だな」
感心するんじゃない。お前のせいだろうってもうつっこませるな!
「ん? え?」
突然雰囲気が変わり、当惑している楸瑛の声に疑問が湧く。寝ようとしている人間に考えさせるなんて、つっこみを入れさせるより性質が悪いが、何に戸惑っているのか気になる。その時唐突にこいつはおれの腹を見ている、と理解しはっとした。俺は眠ろう眠ろうとマインドコントロールに暇なく、眼を閉じてるから俺はエスパーであるなんて仮説が成立しない限り、楸瑛の視線の先なんて解るはずないのだが、そもそもそんな仮説は成立しないのに、解ってしまった。だってそんな戸惑いの声を上げられたらそれしかないだろう。
すっと眠気が引く。コイツにだけは観られたくなかった。ああ失態。
おれの腹に乗っかっている本、それは言葉を重ねることになりうるが主観的には今まで興味がなかった分野で、客観的にはレジに持っていったら本屋の若い女性定員に上目づかいでちら見された代物だ。だからと言って悩ましい表情をした写真が載ってるような、決していかがわしい内容の本だという決めつけは浅慮だ。なぜならばそんな本ではないからだ。断じてないと否定して、信じてもらえる自信があるくらいに普段の行いは悪くないし、そういう本は学生時代に悪いクラスメイトに無理やり見せられて以来――というのは本筋から関係ないから省略する。
「何でまたこのチョイス――」
「不法侵入は犯罪だ、藍楸瑛。人が眠っている間に詮索とは感心しないな」
パチリと眼を開けば、一瞬驚いた楸瑛はすぐに待ってたかのように人の悪そうに口元を歪めて覗き込んできた。
「おや、お目覚めかい絳攸先生。合鍵を渡されたんだから、いつでもウェルカムって判断にならない? 最後のは不可抗力。そんな目立つ本を腹に載せて寝ている君のフォルトだ」
「もういい。寝起きにお前の長口上はガンガン響いて気分が悪くなる」
「君には不評なのか。残念。私の声で目覚めたいって、引き留め女性はたくさんいるんだけど」
………コイツの息の根を誰か止めるべきだ、と時々思うくらいは自由なのだからいいだろう。本当の所偶に手が出るが、むかつくことに涼しい顔で躱されてばかりいるのだから実害はない。悔しい。
※ ※ ※
私、読むのも書くのも断然三人称の方がなじみやすいのですが、舞城さんを読んで一人称の無限の可能性に目覚めました。ほら、影響受けやすい人間なので…。
もう少し続きます。そして納得できればサイトにアップします。
この話については、ネタと一人称ありきで、設定が全く抜けていて、この二人の立場は何だ、と書いていて迷いました。窓辺に籐の椅子を置いて休みを楽しんでるのだから、まあ社会人だろう、と。では職業はナニ? という思考回路を辿ってます。先生と書いた通り、先生で、助教授(准教授)の二人に出張ってもらってます。
一人称・舞城さんの影響はともかく、久々に自分のネタです(苦笑)。
他に「ペンギンはマーチを刻む」という題名とちょこちょこネタが決まっている話も書きたかったのですが、それは後日。あ、これは題名決まってないです(苦笑)。
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