※個人の趣味によるブログです。基本的に本を読んでます。
No.590
2013/10/14 (Mon) 22:32:27
メッセージありがとうございます!!
先日の没作品が完成しました(苦笑)。ストレス解消に書いていたら、書き終ったので、再び投げておきます。
先日の没はコレ→http://castellastreet.blog.shinobi.jp/%E6%9C%AA%E9%81%B8%E6%8A%9E/%E6%B2%A1
当初予定していたものとは全く違う雰囲気になって驚きです。←没になった理由。
※ ※ ※
どのタオルがいいんだ、なんて楸瑛なんかに考えるのは無駄なことに悩みながらごそごそごそごそ。いつ洗ったタオルだか解らなかったり、箪笥の臭いが染みついてたりするのは一応避けないと、なんてとっさに考えたのは慈悲でもなんでもない。そんな男の一人暮らし丸出しのブツを出したら、可哀想な表情でじっと見つめられるにきまってるから、たまったもんじゃない。つまりは自己防衛。以前インスタントラーメンを大量購入したところを見つかってしまった時の記憶と、その後半月仕事帰りにスーパーの袋を下げて玄関に立て笑う男の姿が浮かんで、ああ…と遠い眼をしそうになった。あいつの飯はやけにうまかったって、そんなのどうでもいい。
「そうだ、お前にいい本を貸してやる」
綺麗なタオル…いやしかし、コーヒーを吸うんだからなんでもいいか。風呂上りにちゃんとしたのを出せばいいか、とか思いながらがさがさごそごそ。あまり長く探してるとまた疑惑が生まれるから時間稼ぎ。
「本? 何の?」
「ペンギンだ。俺が思うにお前に必要な本だな」
「ペンギン? ペンギンってあの白黒の? 飛べない鳥?」
「そうだ。嘴が黄色いヤツ」
「よかった。漬物石の凸凹みたい本じゃなくて」
ナゼ笑う、失礼なヤツめ。それに漬物石の陰影だ、と頭の中に随分前に楸瑛に貸して非常に微妙な顔をされた本の絵が浮かんだ。いやそもそもあいつが人の読書を邪魔するから、そんなにこの本が読みたいのか、と思って貸したのに。
「で、どんな内容なんだい? そのペン君は」
「ペンギンは一度結婚すると冬を経て離れ離れになるが、また同じ相手を探し彷徨う。しかし頑張っても同じ相手を見つけられるのはその中でも20%弱だ。よちよちとあの小さなステップで、同じ相手を探すんだ」
よし、これにしようというタオルがようやく見つかる。箪笥をパタンと閉めた。
「お前もフラフラして、女にコーヒーをぶっかけられないよう少しはペンギンの健気さを見習え」
「……よくこの大惨事が女性がらみだと解ったね」
「お前がモカを飲むわけないだろ」
振り返えれば、意外な物でも見た様な顔をした楸瑛と視線がぶつかり、そのあと苦笑を向けてきた。モカのチョコレートみたいにどこか甘ったるい苦笑に驚きながらタオルを差し出したが、受け取らない。
「君が私のことを意外にいろいろ知っててくれるって、結構嬉しいな」
「別に…。コーヒーの趣味位これだけ一緒にいるんだから解るだろ。他にもいろいろ」
「他にもいろいろ、ね」
「好きなビールとか、食べる順番とか、嬉しい時に俯いてひっそり笑う癖とか」
タオルを振って、取るように促すが、それも無視。視線はじっと俺に注がれていて、なんか困る。
「だ、大体、お前がちゃんとすれば、お前にモカをぶっかけた女も変な期待をせずに済んだはずだ。だからペンギンを見習ってこう、少しは一途に、誰かに本気になれ」
トン、とタオルを胸のあたりに押し付ける。でも、楸瑛はタオルを受け取らない。意味が解らん。
「本気になってもいい?」
――え?
一歩、楸瑛が踏み出すから、なんだか知らないが一歩下がる羽目になる。また一歩。そしてもう一歩。靴箱とは反対側に追いつめられてしまったのは何でだ。
何でそんな風に見る?
「君はどう思う? 本気になっていいかな?」
「俺に訊くな」
一瞬口ごもった。しまった。何がしまったんだ? というか、本気の相手がいたのか。驚きと寂寥感。寂しいのは何故だ? きっと今まで相談してくれなかったからだ、というか相談してほしかったのか? 解らない、わからない。ただ、こいつは今変わろうとしていて、それを俺は応援しなくてはいけない立場のはずで、心の底から頑張れ楸瑛と言えないのは、まだ驚いているからなのか? 本当にそれだけ?
コーヒーの香りが近くて、それは俺と楸瑛の物理的な距離が近くなったからで、何でこうなってるのか解らない。
「本気になろうかな」
「――だからそういうことは俺に」
え、と思ってとっさに何が起きたのか追いつかなかった。手を取られて抱きしめられているんだというのが解った所で、でもそれは何でだ。何でこんなコーヒー星人みたいな男の肩越しの景色を知らなければならないんだ。コーヒーの沁みが俺にも移るのに。
言葉がおっつかない。身体がおっつかない。
「こういうことだから」
せっかく選んだタオルが裸足の足の上に、ふわりと落ちた感触がした。
※ ※ ※
当初「ペンギンはマーチを刻む」と題名をつけて、書くつもりだったのですが、コーヒーにペンギンが喰われるわ、なんか思っていた雰囲気と違うわで没です没。
9月中の話になるのですが、新宿のコ○カミ○ルタのギャラリーに参りまして。目当ては星のナントカみたいなやつだったのですが(すでに曖昧マイメモリー)、同時開催の北極展みたいなものがやっていました。そこのペンギンのパネルに「ペンギンは動物の中では珍しくソロメイトで、離れ離れになっても次の年もまた次の年も同じ伴侶を探そうとする。しかし15%(か20%<曖昧マイメモリー)しか同じ相手に巡り合うことが出来ないのである、というような説明書きがありまして、即座にペンギンで双花だ、と思い浮かんだのがひと月以上前(苦笑)。それから長かったです。
写真はコニ○ミ○ルタの星のやつのギャラリーの写真です。※もうこの展示は終わってます。
偶に寄って、心の洗濯をしてきます(笑)。一眼が欲しくなります。
先日の没作品が完成しました(苦笑)。ストレス解消に書いていたら、書き終ったので、再び投げておきます。
先日の没はコレ→http://castellastreet.blog.shinobi.jp/%E6%9C%AA%E9%81%B8%E6%8A%9E/%E6%B2%A1
当初予定していたものとは全く違う雰囲気になって驚きです。←没になった理由。
※ ※ ※
どのタオルがいいんだ、なんて楸瑛なんかに考えるのは無駄なことに悩みながらごそごそごそごそ。いつ洗ったタオルだか解らなかったり、箪笥の臭いが染みついてたりするのは一応避けないと、なんてとっさに考えたのは慈悲でもなんでもない。そんな男の一人暮らし丸出しのブツを出したら、可哀想な表情でじっと見つめられるにきまってるから、たまったもんじゃない。つまりは自己防衛。以前インスタントラーメンを大量購入したところを見つかってしまった時の記憶と、その後半月仕事帰りにスーパーの袋を下げて玄関に立て笑う男の姿が浮かんで、ああ…と遠い眼をしそうになった。あいつの飯はやけにうまかったって、そんなのどうでもいい。
「そうだ、お前にいい本を貸してやる」
綺麗なタオル…いやしかし、コーヒーを吸うんだからなんでもいいか。風呂上りにちゃんとしたのを出せばいいか、とか思いながらがさがさごそごそ。あまり長く探してるとまた疑惑が生まれるから時間稼ぎ。
「本? 何の?」
「ペンギンだ。俺が思うにお前に必要な本だな」
「ペンギン? ペンギンってあの白黒の? 飛べない鳥?」
「そうだ。嘴が黄色いヤツ」
「よかった。漬物石の凸凹みたい本じゃなくて」
ナゼ笑う、失礼なヤツめ。それに漬物石の陰影だ、と頭の中に随分前に楸瑛に貸して非常に微妙な顔をされた本の絵が浮かんだ。いやそもそもあいつが人の読書を邪魔するから、そんなにこの本が読みたいのか、と思って貸したのに。
「で、どんな内容なんだい? そのペン君は」
「ペンギンは一度結婚すると冬を経て離れ離れになるが、また同じ相手を探し彷徨う。しかし頑張っても同じ相手を見つけられるのはその中でも20%弱だ。よちよちとあの小さなステップで、同じ相手を探すんだ」
よし、これにしようというタオルがようやく見つかる。箪笥をパタンと閉めた。
「お前もフラフラして、女にコーヒーをぶっかけられないよう少しはペンギンの健気さを見習え」
「……よくこの大惨事が女性がらみだと解ったね」
「お前がモカを飲むわけないだろ」
振り返えれば、意外な物でも見た様な顔をした楸瑛と視線がぶつかり、そのあと苦笑を向けてきた。モカのチョコレートみたいにどこか甘ったるい苦笑に驚きながらタオルを差し出したが、受け取らない。
「君が私のことを意外にいろいろ知っててくれるって、結構嬉しいな」
「別に…。コーヒーの趣味位これだけ一緒にいるんだから解るだろ。他にもいろいろ」
「他にもいろいろ、ね」
「好きなビールとか、食べる順番とか、嬉しい時に俯いてひっそり笑う癖とか」
タオルを振って、取るように促すが、それも無視。視線はじっと俺に注がれていて、なんか困る。
「だ、大体、お前がちゃんとすれば、お前にモカをぶっかけた女も変な期待をせずに済んだはずだ。だからペンギンを見習ってこう、少しは一途に、誰かに本気になれ」
トン、とタオルを胸のあたりに押し付ける。でも、楸瑛はタオルを受け取らない。意味が解らん。
「本気になってもいい?」
――え?
一歩、楸瑛が踏み出すから、なんだか知らないが一歩下がる羽目になる。また一歩。そしてもう一歩。靴箱とは反対側に追いつめられてしまったのは何でだ。
何でそんな風に見る?
「君はどう思う? 本気になっていいかな?」
「俺に訊くな」
一瞬口ごもった。しまった。何がしまったんだ? というか、本気の相手がいたのか。驚きと寂寥感。寂しいのは何故だ? きっと今まで相談してくれなかったからだ、というか相談してほしかったのか? 解らない、わからない。ただ、こいつは今変わろうとしていて、それを俺は応援しなくてはいけない立場のはずで、心の底から頑張れ楸瑛と言えないのは、まだ驚いているからなのか? 本当にそれだけ?
コーヒーの香りが近くて、それは俺と楸瑛の物理的な距離が近くなったからで、何でこうなってるのか解らない。
「本気になろうかな」
「――だからそういうことは俺に」
え、と思ってとっさに何が起きたのか追いつかなかった。手を取られて抱きしめられているんだというのが解った所で、でもそれは何でだ。何でこんなコーヒー星人みたいな男の肩越しの景色を知らなければならないんだ。コーヒーの沁みが俺にも移るのに。
言葉がおっつかない。身体がおっつかない。
「こういうことだから」
せっかく選んだタオルが裸足の足の上に、ふわりと落ちた感触がした。
※ ※ ※
当初「ペンギンはマーチを刻む」と題名をつけて、書くつもりだったのですが、コーヒーにペンギンが喰われるわ、なんか思っていた雰囲気と違うわで没です没。
9月中の話になるのですが、新宿のコ○カミ○ルタのギャラリーに参りまして。目当ては星のナントカみたいなやつだったのですが(すでに曖昧マイメモリー)、同時開催の北極展みたいなものがやっていました。そこのペンギンのパネルに「ペンギンは動物の中では珍しくソロメイトで、離れ離れになっても次の年もまた次の年も同じ伴侶を探そうとする。しかし15%(か20%<曖昧マイメモリー)しか同じ相手に巡り合うことが出来ないのである、というような説明書きがありまして、即座にペンギンで双花だ、と思い浮かんだのがひと月以上前(苦笑)。それから長かったです。
偶に寄って、心の洗濯をしてきます(笑)。一眼が欲しくなります。
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