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No.101
2011/12/30 (Fri) 22:44:11

拍手ありがとうございます!!多分明日お返事いたしますっ。
昨日の日記の続きで「イベントに参加するには紙袋が必要なんだ!」と気付きました。いやきっとみんな一度はこういう経験してるんじゃないかなと思ってます。
そしてちょっとスパイパロのネタを投下しておきます。26日の日記と繋がっている様ないない様な。
サイトにアップしようか迷い中ですが中途半端な長さなんだよなー。
では、最後の一滴まで2011年を楽しみましょう!

病院の様な白に潜入用の黒装束は異質に浮かび上がる。カタカタウィンウィンとせわしなく微かに響き続ける機械音の中心に白衣の背中が無防備に楸瑛の方へ向いていた。それはまだ不安定の少年の物で楸瑛はサイレンサーを付けた銃を向けるのをためらった。
まだほんの16歳。
18歳の楸瑛よりもさらに2つも年下だ。その少年は世界の常識を凌駕した。10歳までを孤児として施設で育てられたのにもかかわらず、彼の頭脳は隠しようもなかった。めきめきと頭角を現してきた彼は「もっとちゃんとした教育を」という言葉とともに政府機関に引き取られ、秘匿のうちに厳重に保護されてきた。
最もここに来るまでにくぐりぬけた何重ものトラップは世界最悪の凶悪犯でも閉じ込めている印象を抱かせるのに難くないほど厳重で、僅かに不快感が湧きあがった。
実際24時間監視下に置かれた彼の研究は利用され搾取され続けているのだから、むしろその才能を見いだされない方が良かったのかもしれない。
まあ18でこんな仕事――スパイをしている楸瑛が言えた筋ではないが。
李絳攸――若き天才物理学者。
今回楸瑛に下ったミッションは絳攸の現在行っている研究記録を盗むこと。楸瑛のボスの目的など知らないが、どうせ碌なことではないだろうという憶測は当たっているはずだ。
絳攸の命の有無については問わないがこの状況で彼に気付かれずに奪うことは不可能だ。コルトを握る手に力が入る。
「あと8秒待て」
脈絡なく唐突に。感情を排した大人びた声が響いた。銃身が揺れる。音を立てたつもりはなかったのに気付いていたというのか。
「8秒後お前の主人を満足させられるギリギリの段階まで論文が完成する。それを持っていけばお前の評価は上がるだろう」
最後のキーが叩かれる音が響く。水を打ったような静寂の中、李絳攸は立ち上がり振り返る。楸瑛は何故か引き金をひけなかった。
表情がない顔はまだあどけなさを残している。
「なんだ若造か」
言いながら絳攸は何かを迎え入れるように手を広げて見せた。
「ほらもういいぞ。殺せ」
「君は」
必要以上に殺さなければいけない人間に関わるな。スパイの常識。でも。
「それでいいのか?」
「その質問に意味はあるとは思えない」
「解らない。ただ知りたい」
銃を向ける青年と迎え入れる少年の視線が真っ直ぐにぶつかる。先に逸らしたのは絳攸だった。横顔に銀髪が顔にかかる。
「今の分野に飽きたのが2年前。でも研究内容を俺は指定できないのにこりごりしただけだ」
自由のない生活。16歳といえば彼には当てはまらないだろうが遊びたい盛りだろうに。
――窮屈な環境よりは死を。解放を。
「ほら、やれ」
終始落ち着きはらった少年は促す。躊躇いは無用。こんなところに閉じ込められているよりはマシだろう。せめて苦しまないように、と照準を定めていると。
突然絳攸が後ろのパソコン画面に素早く目を向けると、その勢いを残したままもう一度楸瑛を睨みつけた。
「やばい気付かれた!早く殺すなり盗むなりして行け!3分は稼いでやる!」
東側は警備が手薄だ、と叫ぶ少年の腕をつかみながら楸瑛は新鮮な驚きを感じていた。一体何をしようとしているのか。
抵抗に動じない力の差。そのまま俵を担ぐように肩にのせた。窓に数発弾を叩きこむが、割れる気配を見せない防弾ガラスに舌打ちをしたい気分になった。
「おい。あれを使え」
さかさまになった少年は荷台にのせられた箱を示す。
「微細な振動を起こす装置だ」
いつの間にか逃れることを諦めたようだ。力なくぶらんとしている。楸瑛は荷台を移動させ言う通りにしながらスイッチを押すと数秒でガラスが砕けた。人1人が十分通れるくらいに広げて足をかけると。
「あ、忘れてた」
そう言って楸瑛は飛ぶ瞬間に手榴弾を3つ投げ込んだ。
爆音が響く頃には楸瑛と担ぐ形から横抱きにした絳攸は空の上だった。
パラシュートを開くまで続いた叫び声に初めて少年が16歳だと実感した。


 
※※※

夜の市街地。比較的治安が悪い地区でアパートに挟まれたひっそりとした路地の階段に楸瑛は肩をがっくり落として座っていた。
「あー…これからどうしよう」
ミッションを失敗しただけではなく施設を破壊したのは命令違反だと思われても仕方がない。追及の手が伸びるかもしれないのだから。これで立派なお尋ねものだ。
早まったか。
そんな悩みに悩む楸瑛を傲慢な瞳で少年は見下ろし続けている。
自由になったんだからどこかに行けばいいものを。あ、でもどこに行けばいいのか解らないのかもしれない。まだ16歳で引き取られてからは閉じ込められていたのだから。
「お前、名前は?」
「楸瑛。藍楸瑛」
投げやりな声にそうか、と呟くような一言が返る。
項垂れる楸瑛に影がかぶさった。
「楸瑛。俺の手足にならないか?」
あっけにとられて楸瑛は立ったままの絳攸を見上げた。
「君、本気?」
「自由になったこの状況を利用しない手は無い。お前の腕と俺の頭脳があれば不可能はない」
にやりと笑った顔をとっくりと眺めまわした楸瑛はついに笑いだした。
「決まりだ、楸瑛」
「よろしく絳攸」
伸ばされた手に引き起こされ、そのまま初めての握手。その力強さに満足した。


この時後に世界最凶と恐れられる名前の無い組織が誕生した。




**********
昨日「俺の手足にならないか?」という台詞を思いついた時の衝撃を想像して下さい(迷惑な要求)。
一気にスパイ妄想が脳内を席巻しました。そしてこうなりました。
敵同士で出会ってお互い惹かれあって二人とも組織を裏切りお尋ねものになって悩む楸瑛に「手足」宣言。
前回の妄想がコミカルになったのはお互い技術を磨いて余裕が出来たからで、このころはまだ必死だったのかなあ、と書きながら更に妄想です。


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