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No.514
2013/07/15 (Mon) 22:43:00

「暑い……」
窓側の席でくたりと机に人が転がっている。楸瑛は机上の銀色の頭と形の良い耳と、汗ばんだ白い首筋を見ながら、まあこの暑さなら仕方がない、と苦笑した。
ちなみに暑さに喘いでいる人物は、制服のズボンの裾を折り曲げ靴下は脱ぎ捨て、素足にサンダルを突っかけている。
窓から差し込むのは燦々と強烈に輝きすぎる日光で、吹き付けるのは大釜でラーメンでも湯がいているのかというような熱風で、耳朶を痛いほど暴力的に震わせるのは某国民的アニメのガキ大将のへたくそな歌を聞かされる側に共感できるような、蝉の大合唱だ。集団の力に恐れ入る。
――まさしく夏である。
思いついてそっと窓の側に移動すれば、すぐさま白いシャツの上からでもジリジリと肩が焼かれるのが解った。
落ちた陰に気付いたのか、もぞもぞと倒れた絳攸が動く。
「しゅうえい、か…?」
晴れた冬空みたいな色をした虚ろな瞳がこちらに向けられた。いつもの張りがない、か細く途切れ途切れといった声に楸瑛は声なく笑った。
「相当弱ってるね。死にそうな声してる」
「実際死にそうだ……。うう、あつい……」
「人気の窓側席も、夏は灼熱地獄だね」
熱風に弄ばれるカーテンの隙間から、日差しなんて当たり放題だ。
「アイスでも買って帰ろうか」
提案すれば、よたよたと満身創痍の兵士みたいな速度で、起き上がる。バッグの中を詰めるのを、熱せられた窓枠にもたれながら待っていた。
「ありがとな」
絳攸が不意にぽつりとつぶやいた。
楸瑛の陰に覆われた横顔はどこまでも綺麗だった。

***

明日は幾分マシみたいですね。あああ、よかった。
昨日の理系ネタに引き続き、暑さに喘いでいる己を投影させてみました(苦笑)。日陰って偉大です。
高校生君のイメージで書きましたが、でもこのネタ、原作設定でもできたなあと今気づきました。

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